地政学が好きな大学生による日常記録

地政学を軸として日々思いついたことをつれづれなるままに書いてくブログです。

香港デモに関して思うこと

本件を取り上げようか悩んだのですが警察官の散弾銃発砲の映像を見てしまったので、同じ時間を生きているものとして感じたことを記録に残そうと思ったので書いていこうと思います。

 

香港デモは6月9日に制定された逃亡犯条例の改正に抗議したことが発端です。内容は特定の犯罪の容疑者を香港から中国本土に送還できるというものらしいです。

(https://diamond.jp/articles/amp/205199?display=b)

 

詳しい内容はいったん置いといて、今回のデモの鎮圧方法に関してどのように香港政府側が正当化するかに焦点を当てて話してみようと思います。

 

中国の法律解釈は日本を含む西洋型の法律解釈とは大きくことなってきます。

そうした前提の上で言うならば、個人的には当局は治安維持のために行った正当な行為だから、他国が非難するのは内政干渉だという感じで反論してくると予想しています。

 

中国の警察行政がどういった執行権限を持っているか具体的には知りませんが、おそらくそれを援用する形で正当化してくるはずです。

 

背景に中国は国土とそれに伴い人口が多いため、統治管理するのは非常に大変なことが挙げられます。

こうしたデモが各地に広まれば国内の治安が悪くなり(=中国共産等にとって都合が悪い)、それが引いては政情悪化に繋がる恐れがあることから警察が実力行使をしてでも鎮圧するべきであるといった論理展開になりそうです。

 

警察や軍といった力を持つ組織がする鎮圧行為は、戦時においても特に治安維持の観点から正当化されています。

 

中国からすればこうしたデモは一種の反逆行為に近く、すなわち国家非常事態という戦争に準ずる有事となり、有事であるならば仕方がないという解釈もできます。

 

つまり中国にとってみると治安維持という大義名分のもとでデモの鎮圧行為を行なっているのであり、決して他国に批判される筋合いはないと余計に強硬的な態度を取る恐れがあります。

 

このような中国の理論武装は、日本でも第二次世界大戦において見られます。

それは大東亜共栄圏内における軍政についてです。

 

軍政にも様々な形態がありますが、デモの鎮圧行為は広義軍政にあたるものです。

日本もフィリピンやミャンマー において戦況が厳しくなってきた1943年以降にこの傾向が多くなってきています。

日本にとっては日本の占領地軍政に対抗する反乱分子を放っておくと政情悪化に繋がるので、治安維持のために鎮圧行為を行いました。

 

当時の日本を含む第二次世界大戦における鎮圧行為と、現在の中国による鎮圧行為の正当化に関する理論は簡単に同じものだと並べることはできません。

しかしながら中国共産党による一党独裁体制という政治体制を背景にした独特の政治的理論があることを無視してはいけないということです。

 

中国には中国の事情があることを考慮したうえで、戦後民主国家となった日本の一国民としてこのような事態はいいことなのかどうかを簡単に悪だと結論づけずに熟慮する必要があると思います。