地政学が好きな大学生による日常記録

地政学を軸として日々思いついたことをつれづれなるままに書いてくブログです。

丸山氏の戦争発言とロシアの領域拒否

http://news.livedoor.com/article/detail/16452383/

 

丸山氏の北方領土に関する発言について物議を醸してるようです。詳しい発言はリンクに飛んでください。

 

本題に入りますが、この領土奪還のための戦争に関して実行したとしてはたして意味があるものになるのか不明な点があります。

 

それはロシアの海洋要塞戦略が原因です。

ロシアがオホーツク海あたりを攻撃型原潜などで制海権を維持することによりアメリカの空母打撃群などを阻止する領域拒否の戦略の一つに含まれます。

 

この理論はロシアがランドパワーという特性から陸地から海上への戦力投射により、オホーツク海一帯の制海権を支配するという独自の理論をもとに発展してきました。これによりアメリカの兵力優位をもって制海権を獲得する戦略をくじけさせ、少なくとも両者とも相応のダメージを被ることを目的としています。

 

このロシアの戦略に対抗するために日本では西村繁樹氏により北方前方防衛理論などが提唱されています。詳しくはググってください。

 

 

以上のロシアの領域拒否という戦略を前提とした上で、はたして日本の自衛隊北方四島を奪還するためだけに戦争を起こすかと考えるとコスト的に割に合わないと言わざるをえません。

 

戦争が始まったとしても、米軍頼りの日本としては核を使用しない仮定のもとで通常戦力で対抗することは現実的に不可能だと思います。

 

感情論として日本の領土なんだから戦争してでも取り戻したいという気持ちはわからなくもないですが、それで自衛隊の隊員たちに多くの犠牲を支払わせるのは間違ってると思います。

 

またロシアとしてもこの領域拒否のために北方四島戦略的価値は高まってきていることから

簡単には日本に引き渡さない状況になっています。

 

ロシアは日本に変換すれば在日米軍基地が北方四島にまで迫ってきて、せっかくの領域拒否が成り立たなくなることを恐れているのでしょう。

 

こうしてみると戦争という手段は事態を悪化させるだけで、勝利したとしても北方四島が絶対に返ってくるという保証もありません。

 

そうすると何とか政治的な判断で北方四島の交渉を進めていくしかなさそうです。

ロシアとの経済協力は批判が多いですが、手を組むことでロシアに対して軍事戦略の変化を促すことができるという側面もあると思います。

 

参考文献

海洋戦略論 後潟桂太郎

(本書は海軍の戦略を考える上で有益なものだと思います。海洋安全保障に興味ある方にオススメです。)