ゴラン高原問題
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6318608
ゴラン高原問題で米国が孤立という記事がありました。自分の勉強のためにもどういった問題なのか調べてみたのでざっくりまとめてみたいと思います。
まず現状について説明していきます。
2019年3月25日にトランプ大統領がイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、ゴラン高原をイスラエルの主権として認める文書に署名したことから始まります。
(https://sp.fnn.jp/posts/00415004CX)
トランプ大統領が署名した文書は正式には大統領宣言【Presidential proclamation】と呼ばれるものです。
しかしこれは即座に効果があるものでもないようです。
それは議会によって承認されない限り、法としての強制力がないからだ。
ではアメリカはどうしてイスラエルにゴラン高原の主権を承認したのでしょうか?
ゴラン高原とはそもそも何なのかというところから話を進めます。
イスラエルに主権を認める以前から、イスラエルはこの地を第三次中東戦争にて占領していました。
第三次中東戦争とはイスラエルがエジプトなどに侵犯して航空機を破壊し制空権を確保したことで、最終的にイスラエルの勝利となりました。
エジプトに侵攻した理由としてスエズ運河の国有化を宣言して始まった第二次中東戦争にて窮地に立たされていたことが背景にあります。
第三次中東戦争を勝利に収めたイスラエルはどうしてゴラン高原を占領したのだろうか?
それを知るためにイスラエル側の資料を見てみる。
イスラエル側は自国の地政学的観点から安全保障を高めるために正当だというような主張をしている。
また占領後も現地の先住民にもコミュニティとして権利を付与し、これによって住民も増加したことから治安維持といった行政的なことも正当であるとしている。
イスラエルにとってはゴラン高原は地政学的に重要な土地だと判断していると思われる。
しかしこれはあくまでもイスラエルの主張だということは留意してほしい。
続いてアメリカにとってはどんなメリットがあるのか?
この記事ではアメリカ大統領の選挙においてキリスト教福音派の支持基盤強化を狙っているらしい。
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190326/amp/k10011860651000.html)
キリスト教福音派は簡単に言うとキリスト教の流派の一つで、協会の権威に頼らずにキリストの教えの伝道を重視して積極的に活動することを主としているらしい。ここら辺はいまいちわからないのでまた今度勉強したい。
このキリスト教福音派を配慮してか、公約にエルサレムをイスラエルの首都とする公約を掲げるなどトランプ大統領にとって無視できない勢力のようだ。
つまりイスラエルにとっては安全保障のために、アメリカにとっては大統領選挙のためにお互いの利害が一致したものであると言える。
しかしながら当然国連としてはイスラエルによるゴラン高原の占領は認めていない。中東でもゴラン高原を所有していたシリアなどは反発している。
そんなシリアは2011年からの内紛で国内が荒れている。現実問題として、今のシリアがイスラエルに立ち向かうほどの戦力が残っているとは思えない。
ここら辺はパワーポリティクスとしては残酷な現実だろう。おそらくアメリカもこういったことを熟知した上でイスラエルに肩入れしてると思う。
日本はこれが世界の現実だと受け入れるしかない。アメリカが自身の利益のために国連決議違反とわかっていながらもこうした態度を取れる背景をもっと考えなければならない。
追記
個人的にはゴラン高原をイスラエルにとっての地政学的に重要な拠点だと考えてるなど、実際の国際政治に地政学の戦略が取り入れられてることは興味深い。